患者様一人一人の、口の中を生涯にわたってトータルにとらえ予防を実践することです。
人間一人一人の顔や性格が違うように、口の中の様子も同じ人はいません。
その患者様にあった、ブラッシング方法、PMTCなどのプロケア、食生活の改善を行うのが「予防」なのです。
虫歯を出来にくくすることはもちろん、口臭の改善、歯周病の改善にも「予防」のテクニックは欠かせません
人間の体内で細菌が最も多く住んでいる場所は口と腸と言われています。「口腔フローラ」と呼ばれる口腔の細菌叢は大まかに「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」の3種類から成り立っており、悪玉菌の比率が多くなるほど健康に悪影響を及ぼします。つまり、口腔内を清潔に保つことで、大まかな病気に対する免疫力高めることができます。
歯科医院でできる感染症予防は何ですか?
歯垢を除去し歯垢清掃(プラークコントロール)を行います。細菌の集合体である歯垢は、虫歯や歯周病などの感染症を引き起こします。歯石は歯垢が石灰化した細菌の死骸であり、特に細菌がたまにやすくなっています。歯石は自分で取り除くことができないため、クリニックで特殊な専門の器具を用いて除去し、スケーリングやルートプレーニング、PMTCにより細菌をコントロールします。
お家でできる感染症予防は何ですか?
自分に合った歯磨きや歯間清掃など口腔内のお手入れ(ホームクリーニング)を行うことはもちろんですが、舌についている「舌苔」の付着予防や「舌クリーニング」がお勧めです。舌苔は、舌の表面にある舌乳頭という細かい突起に食べかすや細菌などが舌の表面に付着してできた白い苔状のかたまりです。舌苔の除去を怠ると、口腔内の悪玉菌を増やし、口臭や免疫力の低下を引き起こします。舌ブラシで強くこすると舌の粘膜や味を感じる味蕾(みらい)を傷つける恐れがあるので、まずは、自分にあったお手入れの指導を受けましょう。
・虫歯菌・・・歯ブラシ、タフトブラシ、フロス、歯間ブラシなどを使って汚れを取り除く
・歯の質・・・フッ素を塗る、唾液中のカルシウムイオンで再石灰化するなどで酸に対して
抵抗力をつける
・食べ物・・・砂糖を取り過ぎない(食べ物、飲みの物に含まれる糖質を減らす)
・時 間・・・唾液の緩衝作用で口のなかを酸性から中性に戻すには1時間程度必要
だらだらと飲んだり食べたりしない
*すべてを100%コントロールすることは不可能ですが、意識してリスクを下げていきましょう!
リスクとは・・・虫歯になりやすさ、危険性のことです
歯周病の原因は、歯垢・歯の汚れです。
歯垢は、歯の表面に付着している細菌のかたまりです。歯垢は、放っておくと歯石に変わり、より歯垢を付着しやすくしていきます。
歯周病に関係する細菌は、歯と歯ぐきとの境目に付いていき、その溝(歯肉溝)の中へ少しづつ奥へ深く入っていきます。
歯垢の病原性と歯ぐきの対抗力のバランスが崩れて歯垢の病原性が高くなると、歯周病が起こってきます。
歯ぐきからの出血により歯周病菌は、爆発的に増殖し、歯周病をさらに悪化させて、歯ぐきの内面は潰瘍状態になっていくため、何もしなくても出血するようになり、
さらに歯ぐきの奥にある歯槽骨(歯をささえている骨)を溶かし、歯ぐきは腫れて膿がたまることがあり、歯は徐々に動いていきます。
歯周病菌は、歯ぐきの内面の傷から血管の中に入り込み、全身を駆け巡るため、歯周病になると、アルツハイマー病・脳血管(脳梗塞)や心血管の病気(狭心症)・糖尿病・リウマチ
ガン・肥満・誤嚥性肺炎になりやすいことが分かってきました。
他にも、様々な病気を引き起こすと言われてきました。
文字どおり、歯を支える周りの組織の病気です。
歯周病は、初期の歯肉炎(歯垢が原因で歯ぐきに炎症がおきたものと、
炎症がさらに進んで歯を支える骨にまで及んだ歯周炎(歯周ポケットがある)があります。
その他進行させる要因として、タバコ・ストレス・食生活などによる、抵抗力の低下などがあります。
歯周病の進行にはほとんど痛みがありません。
自覚症状が現れたときには、かなり症状が進行しているときです。
早めに対処するためにも、定期的、PMTC、健診を受けることをお勧めします。
歯周病とはなんですか?
人の口腔内には約400種類の細菌がいると言われています。その内、歯周病に関する細菌の総称を「歯周病菌」と言います。
歯周病菌の多数は「嫌気性菌」で酸素が苦手という特徴があります。そのため、歯と歯ぐきの境目(歯周ポケット)に細菌が停滞し(歯垢の蓄積)、歯ぐきが炎症を帯びて腫れたりします。この状態が続くと、歯周ポケットが深くなり歯を支える骨が溶けてしまうため、歯はグラグラと動揺し最後には抜け落ちることもあります。
歯周病が引き起こす影響とは何ですか?
歯ぐきの炎症がつづくと歯周病菌が血液に侵入し、全身疾患にも影響を及ぼします。
最近では、糖尿病、肥満、虚血性心疾患(心筋梗塞・狭心症)、誤嚥性肺炎、早期低体重児出産、骨粗しょう症などへの関連も疑われています。
歯科医院でできる歯周病予防は何ですか?
「歯石」は歯垢が石灰化した細菌の死骸です。
自分では取り除くことができないため、クリニックで専門の器具を用いて除去し、細菌をコントロールします。また、歯周病菌はそれ自体を死滅させても、細菌の細胞壁に有害物質が含まれているため、レーザーなどで殺菌・無毒化を行う必要もあります。
お家でできる歯周予防は何ですか?
自分にあった歯磨きや、特に歯と歯の間の歯ぐきとの境目を、デンタルフロスや歯間ブラシで清掃を行いましょう。
舌の表面にできる白い苔状の「舌苔」は細菌の温床なので「舌クリーニング」もおすすめです。まずは自分にあったお手入れの指導を受けましょう。
歯の周りに食べかすが付着し歯肉炎が起こっています。正しいブラッシングで治すことができます。
歯周ポケットが形成され、歯槽骨(歯を支える骨)が溶け始めます。
歯も少しぐらぐら動きます。
口臭や血が出てきます。
この状態になると、自覚症状が出てきます。
歯がぐらぐらと動き、食べ物を咬むと痛みが走ります。
口臭もひどくなります。
歯周病の予防には、普段の生活でのプラークコントロールが重要になってきます。
正しいブラッシング方法や、定期的なPMTCにより、歯周病を予防する事が可能です。
普段の生活では、歯ブラシによるブラッシングの他に、デンタルフロス(糸ようじ)、歯間ブラシなどを使うと、
すきままできれいに磨くことが出来ます。
①セルフコントロールの指導
歯ブラシの適切な使い方・デンタルフロスの使い方の指導
②プロフェッショナルコントロール
歯垢、歯石の専門的除去・PMTC
③虫歯の治療・歯ブラシコントロールが出来ない親知らずの抜歯
④3ヶ月に1回の定期検診により9年経過後も良好に維持しています
プラークは約8時間で(寝ているあいだに)こんなに成長します。
プラークは24時間後には目に見える程成長してゆきます。
これを壊し、取り除き、プラークのつきにくい状態に一日一回戻すことを、プラークコントロールと呼びます。
歯磨きは、磨いていても磨き残しがあるのが現状です。
歯科医院で、正しい磨き方や歯と歯の間の清掃の仕方を学びましょう。
術前
術中
術中
歯垢(デンタルプラーク)のほとんどは細菌です。虫歯や歯周病(歯槽膿漏)の原因は細菌の集合体である歯垢(デンタルプラーク)です。
そこで原因除去療法として歯垢清掃(プラークコントロール)が最も重要な治療であり、予防でもあるのです。
1 )セルフケアー
家庭で行なう歯磨き(ホームケアー)
歯の表面付近で浮遊しているデンタルプラークの除去
2 )プロケアー
歯科医院で行なう歯磨き・術者みがき
デンタルフロス(糸ようじ) 歯間ブラシ 歯ブラシ その他補助的器具を使用して行なう。
Professional 専門家が行なう
Mechanical 器具、材料を使用して
Tooth(Teeth) 歯牙、歯根表面を
Cleaning 清掃する
プラークコントロールのいっかんとして、患者様のコントロール(セルフケアー)の不充分なところや出来にくいところを指摘し、
歯科医師や歯科衛生士〈専門家〉が、様々な器具・材料を使用して歯牙表面・歯根表面に固着したバイオフィルム〈成熟した細菌の集合体)
〈虫歯や歯周病の原因〉を徹底的に取り除き(プロケアー)、歯牙表面・歯根表面を滑沢にして細菌を付着させにくくすること。
① 生理的口臭
原因疾患がないもの。(にんにくなどの飲食物、一時的なものは除く〉
舌の上にある白い苔のようなものに細菌が繁殖したものが、約60%をしめる。
② 病的口臭
1. 口腔由来の病的口臭
口の中の病気や変化、機能低下によるもの。口臭の90%以上がこれにあたる。
虫歯により大きな穴が出来、その中に食べ物がたまり、細菌が繁殖する。
歯と歯ぐきとの境目から細菌が進入して、歯ぐきの下の骨が溶け、膿がたまる。
2. 全身由来の病的口臭
耳鼻咽喉、呼吸器疾患、内蔵機疾患によるもの
③ 心因性口臭
1. 仮性口臭症
2. 口臭恐怖症
唾液の働き
・浸潤作用・・・乾燥を防ぎ咀嚼・嚥下(飲み込み)を助ける
・消化作用・・・アミラーゼ(消化酵素)によりでんぷんを溶かす
・抗菌作用・・・リゾチーム(細菌の細胞膜を壊す酵素)などにより口腔内細菌を減少
・排泄作用・・・有害物質を希釈する
・ミネラルの供給源・・・カルシウムイオン、リン酸イオンを供給する
・自浄作用・・・洗い流す
・緩衝作用・・・酸性に傾いた口腔内を中和させる
分泌量はカップの目盛りから読みとる
② テストチューブに唾液を1ml入れ蓋をして底の試薬が溶けるまでよく振る
③ 判定色見本と染色を比較する
近づくほどむし歯になりやすい
分泌量が少ない場合はしっかり噛むこと、唾液腺マッサージ
などで分泌量を促します。
*薬の副作用で唾液分泌が減少することがあります。
お口の健康状態を3ステップの簡単操作で測定し検査結果を
分かりやすくプリントにしてお持ち帰りいただけます。
過去の検査結果との比較も可能です。
歯ぐきの健康に関する項目 潜血、白血球、タンパク質
口腔清潔度に関する項目 アンモニア
チャートは6角形が小さいほどお口の健康状態が良い