あくびをすると口の中で「カクン」といった音がしたり、ものをかむと耳の付け根やこめかみが痛くなる。こんな症状が現れたら顎関節症を疑いましょう。 顎関節症の患者様は、ここ十数年で急増しているといわれ、とくに20~30代の若い女性に多く見られます。軽症なら自然に治ることもありますが、放置しておくと重症化して、めまいや耳鳴り、肩こり、歯や舌の痛みが続いたり、口が開けられずに食事が摂れなくなったりすることもあります。
普段の生活習慣や癖に顎関節症を引き起こす要因が隠れていることがあります。よくない習慣を続けると、咀しゃく筋を緊張させ、顎関節に強いダメージを与えてしまいます。「顎関節症リスク度チェック」で普段の生活習慣に問題が無いか確認しましょう。
□歯を食いしばる癖がある
□歯ぎしりをする
□歯をカチカチ鳴らす
□うつぶせ寝の習慣がある
□歯並びやかみ合わせがよくない
□一日中ガムを噛んでいる
□ものを食べるとき左右どちらかだけで噛んでいる
□奥歯が抜けたまま放置している
顎関節症の原因はいくつかあります。例えば下あごの骨と頭蓋骨の接続部分にある「関節円板」というクッションの役目を果たす組織がずれることで起こる場合。
関節円板は、口を開け閉めするとその動きに合わせて前後に動き、骨と骨がぶつかるのを防ぎますが、これが前の方にずれたままになってしまうことがあります。
こうなると、口を開け閉めするときに「カクン」と音がしたり、口が開けにくくなってしまいます。
また、ものを噛むときに使っている「咀しゃく筋」という筋肉の障害も考えられます。長時間または慢性的にこの筋肉に負荷がかかることで痛みが発生します。
このほか、関節包やじん帯の障害によって起こるもの、変形性関節症という病気で起こる場合もあります。
アゴの違和感の原因が何なのかを、きちんとつきとめることが大切です。
口が開けにくい、アゴの付け根が痛むなどの症状が何日も続くようなら、まずは歯科医に相談してみましょう。歯科では、食いしばりや歯ぎしりなどの生活習慣の確認から、歯の磨耗、噛み合わせの異常、顎関節の動きや雑音など、さまざまな視点から検査を行います。
慢性的な偏頭痛や耳・鼻・のど・唾液腺の病気、慢性関節リウマチといった病気でもアゴのあたりが痛むことがあります。
また、親知らずの炎症や歯周病でも同じように痛むことがありますので、他の病気と区別をつけるためにも歯科で検査をしてもらいましょう。もし他の病気が原因となっている場合は、クリニックと連携している歯科なら、専門科を紹介してもらうこともできます。
顎関節症の治療は、歯科では不快な症状を取り除いたり、顎関節症の原因を解決したりする温存的な治療が行われます。
薬によって痛みを取り除きます
口の開閉でアゴを動かす訓練して、関節円板の位置を元に戻します
マウスピースを装着して、歯ぎしりや食いしばりによるダメージを軽くします
治療期間は症状によって異なるものの、おおよそ1ヶ月から半年程度といわれています。
顎関節症は生活習慣が関係することが多いため、患者自身のセルフケアが中心となります。
頬杖をついたり、歯を食いしばるようなクセを直すことが、顎関節症の治療と予防に繋がります。